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心中的記憶

風が微かに通

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風が微かに通



 夕方眼を覚ますと既に麗蓮の姿はベットにはなかった。薄暗がりの中でシーツが夕闇の光に暗く濡れているように見えた。ぼんやりとした意識の中でそれを見ていると、壁の向こうからタバコの灰を落とす音が聞こえた。っている。窓を開けているのだろう。船の過ぎる音が遠くに聞こえた。寺山はベットから起きあがると、ライティングデyou beauty 陷阱スクの上の小さな写真立てを見るとは無しに見ながら素肌にジャージを羽織った。壁の向こうから「起きたの?」と麗蓮の声が聞こえた。写真には麗蓮と男と小さな子供が写っていた。寺山はそれを覗き込みながら「うん」と応えた。
 麗蓮は窓の方に体を向け座っていた。テーブルの上にはタバコと灰皿。電気も点けず、夕闇を身に染み込ませているようだった。
「タバコ、もらうよ」
 寺山は麗蓮の向かいに腰を下ろし、麗蓮のどこか寂しげな微笑みに触れ、タバコに火を点け同じように薄暗がりの中に身を置いた。紫煙だけがぼんやりとした光を映していた。
ジャージを羽織っただけの寺山を見、「風邪をひくわ」と麗蓮は立ち上がり、寺山の着ていたシャツを持ってきた。いつの間に洗ったのOffice furniture supplierか日向の匂いがした。
「海は?」とシャツに腕をくぐらせながら、コーヒーを入れるためにキッチンに立った麗蓮に寺山が訊いた。
「覚えていてくれたの?」カップを手に戻って来た麗蓮が「でも、いいの」と言った。
「どうして?」
「いいの???」
「約束だ」
「ありがとう。覚えていてくれて」麗蓮は寺山の前にカップを置き、後ろからその肩に両腕を回し囁いた。
「好きよ」
「その海は何処にある?」
「なぜ?」
 霧笛が聞こえ、街路灯が部屋の中に影を作り始めた。
「この間の男は旦那かい?」
 寺山の髪をまさぐっていた麗蓮Unique Beauty 好唔好の手が一瞬止まり、「ああ、写真、見たのね」と彼女は言った。
「彼と君と子供が写っていた。中国での写真だね」
「古宮」
「彼はここに?」
「ううん」
「なぜ日本に?」
「同じことを訊く人がいる」
 麗蓮は寺山から身を離し、タバコを手に取り、「海、見に行く?」と言った。
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